AIで加速する世界〜“DX人材”とは、一体何なのか?

昨年末よりダイヤモンド・オンライン様に寄稿してきた「DXの進化」、

本日最後の第10回目が掲載されました。

最後のテーマは「DX人材について」です。

…このテーマには強い”思い入れ”もあり、

少し長めの記事となりました。

昨今、DX人材の育成やリスキリングなど、

DX人材をめぐって組織論やキャリア論の分野で様々な論考が

各種メディアやプレスリリース等で飛び交っています。

ただ、その中で強く違和感を持つ部分があり、

本稿では、昨今のDX人材に関する議論や動向に対して、

やや強めに問題提起しています。

これまで寄稿してきた中でも何度か触れていますが、

そもそもDXは「計画的に進める」というスタイルと

極めて相性が悪いと言えます。

例えば、昨今はChatGPTの出現によって

大規模言語モデル(LLM)が一躍脚光を浴び、

AIによる変革の時代が本格的に到来した、と言える状況です。

このマクロ的な変化に対しては、何かしらの策を講じなければ

大きなリスクとなることは間違いないと思います。

しかし、ここで多くの企業では、

これまで積み上げた活動が機会損失になることを躊躇し、

各種計画の変更に踏み切れない場面が想像されます。

また、AIは計画的に、期限までに目標の成果に

到達できるものではなく、

試行錯誤を繰り返しながら取り組みを進め、

それでも成果が出るかは分からないものです。

テーマや難易度にもよりますが、AIを作るとは、

その原理を踏まえるとそういうものだと考えるしかありません。

こういった例に限らず、そもそもDXは、

計画的に成果を達成するプロセスを実現することが、

極めて困難な領域だと私は考えています。

そんな中で、昨今盛り上がっている

「DX人材育成」や「学び直し・リスキリング」は、

あたかも計画的に特定のテーマを学んでいけば、

組織やキャリアにおいて成果が出せることを

謳っているように見受けられます。

ここに、私は強く違和感を覚えます。

少し前に“VUCA”という言葉が流行りました。

これはVolatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの

頭文字を取った、現在の世の中を表現した造語ですが、

この状況は変わらないどころか、

加速しているのが昨今だと思います。

そんな中で、「これを学べば良い」といったテーマを定め、

計画的に育成を進めていくという施策は、

遅かれ早かれ、トレンドとのギャップを生み出す遠因となります。

もちろん、各種育成コンテンツを提供して

学びの機会を作ること自体は欠かせないと思います。

特に日本では諸外国と比べて育成への投資が少ないことは、

各種調査で明らかになっている通りであり、

この傾向は歓迎すべきであることは確かです。

ただ、この育成投資に何らかの理屈が働き、

計画重視に傾倒してしまうと後々に弊害が起きる可能性が高い、

というのが私の強い主張です。

こういった点を考慮すると、

現代では、「何が重要なのか?」を見抜く審美眼と、

何でもトライしてみるフットワークの軽さが、

組織・個人の双方で、ますます重要になってくると思います。

DXの実務では、特にこのフットワークの軽さが大切だと

実感するシーンが、個人的に多々あります。

今年はこれまで以上に世の中の激しい変化が予想されるので、

私としては、この変化を楽しみながら、

新しい領域やテーマに対して常に柔軟なフットワークで、

挑戦していきたいと思います。

今回の連載で、私自身、これまでの経験の棚卸しができ、

気持ちを新たにする機会を頂けました。

末筆ではございますが、今回の連載の機会を頂いた

ダイヤモンド社様には、この場をお借りして、

改めて御礼を申し上げます。

本連載がDXの実務に関わる方々にとって、

少しでもお役に立てれば幸いです。

よろしければぜひ御覧ください。

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