戦略と技術を繋ぎ、DXを成功に導く「7つのポイント」

cross-Xの古嶋です。DX戦略立案・推進やデータ・AI活用の支援をしています。

2022年12月より、ダイヤモンド・オンラインにて全10回の連載を担当しています。テーマは「DXの進化」についてです。

本稿では、公開済みの第1回、DXの成否を決定づける「データ利活用サイクル」について、「解説記事の解説」をしていきたいと思います。

記事のベースとなっているのは、拙著『DXの実務』です。

さて、私がDXの支援や書籍内で一貫して提言しているのは、下図で示しているデータ利活用のサイクルです。

『DXの実務』p.72参照

このサイクルは「戦略」と「技術」をつなぎ合わせたフレームワークとなっています。

まず、図表の左側の戦略の部分では、DXの「コンセプト」を構築します。

DXのビジョンを定め、そのビジョンが実現した世界では、どのような価値(Value)を提供し、どのような顧客体験(UX)が生まれているのかを明確化します。

次に、図表の右側の技術の部分では、戦略を技術に落とし込んだ際の「メカニズム」を言語化・可視化します(詳細は後述)。

さて、図の中には7つの重要な要素が含まれています。

以下に整理した①〜⑦の要素は、それぞれ分断・独立したものではなく、全てが繋がって連動し、全体の精度や効果が高まっていくサイクルを描くように働くことが何よりも重要です。

フレームワーク概要
コンセプト:戦略のコンセプトを企画する①実現したいビジョンを描く。その中で、DXが果たす役割を言語化する
②ビジョン具現化によって実現される顧客体験(UX)を明確化する
③顧客体験(UX)において、顧客に提供される価値(バリュー)を明確化する
メカニズム:戦略を実現する仕組みを企画する④UXの実現度合いを図るKPIを設計する
⑤KPI算出やITシステム、AI活用に必須となるデータを収集する
⑥データ活用サイクルを通じて成長し続けるAIを実装する
⑦ITシステムやAIを活用するなど、開発/施策の創出・実行を通じて価値を実現する
データ利活用フレームワークの概説

私がご支援している多くの企業で、このフレームワークのエッセンスを採用したDX推進が進んでいます。

その主な理由として、これまでのDXに関わる論考では、戦略と技術が分断していた状況があると思います。

DXに関する企画は、ITやAIへの知見が無くても、野放図なアイデアや強い意見に引っ張られ、技術的考察を欠いた状態で作ってしまっているケースが良く見られます。

すると、実際の実務では想定していた要件の実装が難しかったり、そもそも実現困難なことが後から判明したりします。

にも関わらず、そのまま強引に進めると運用で想定以上の人員が必要となって現場が回らなくなったり、プロジェクトそのものが撤回されたりするなど、目も当てられない失敗となることも珍しくありません。

こういった考察の際にフレームワークを用いるメリットとしては、

  • MECE(漏れなく、ダブリなく)に考察ポイントやタスクを洗い出して整理できる
  • 関係者全員の認識を揃え、個別・全体の活動の生産性を高められる
  • プロジェクト推進上で問題が生じた際のチェックを効率化し、PDCAを有効に機能させられる

といった点が挙げられると思います。

ただし、フレームワークを過信したり、その真意を理解しないまま使うと逆効果になるので十分注意が必要です。

フレームワークを使うことの危険性については、別途ブログで書く予定です。

今回は以上です。宜しければぜひ記事も御覧ください。

DXの成否を決定づける「データ利活用サイクル」 | DXの進化 | ダイヤモンド・オンライン

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