問題解決力・ロジカルシンキングよりも重要な力を見落とさないために
cross-Xの古嶋です。DX戦略立案・推進やデータ・AI活用の支援をしています。
ダイヤモンド・オンライン様に寄稿・連載している「DXの進化」、その第2回の内容について補足的な解説・コメントをしていきたいと思います。
第2回のテーマは「課題の発見」です。
長年この領域で仕事をしていると、常に世の中が揺れ動いている様子が、現場を通じて色濃く伺えます。
理性と感性、ロジックとデザイン、経営と現場、計画と実行・・・などなど、これらが対立概念なのかどうかは人それぞれの捉え方次第ですが、「どちらが重要か?」という比重が変わり続けているように思います。
この点、私の職業柄、「課題」というものにさまざまな角度から関わるのですが、ここでは「発見と解決」の間で、世の中が揺れ動いているなぁと感じます。
世間を賑わすサービスは何らかの課題を解決するためのもので、競争は常に「いかにして優れた解決策を生み出すか?」に終始センターピンが刺さっています。
ただ、現代は課題が減り続けている世の中であり、ここでより求められるのは課題を「発見する力」なのかな、と思います。
課題解決では、前提として既に課題が明確に存在していることになっています。
しかし、その課題が果たして課題と呼べるものなのか、本当に解くべき課題はどこにあるのか、といった思考は、実務では極めて重要です。
課題の発見によって世の中を大きく変えたものは、現在の商品・サービスを見渡せばたくさんあると思います。
例えば、
- ウォークマン→iPod
- ガラケー→iPhone
- 給湯器→瞬間湯沸かし器(T-falなど)
- 自動車→ビークルOS(TESLAなど)
- コンビニ→無人店舗(Amazon Goなど)
- 決済システム→埋込み型決済(Stripe など)
などなど、挙げだせばキリがないところですが、こういった新たなソリューションは課題「解決」型のアプローチでは、恐らく生まれてこないでしょう。
「手持ちの技術で何とか良いものが作れないか」とか、「この問題を解決するにはどうすればよいか」といった“閉じた”思考様式ではなく、「何が課題なのか」という視点を常に持ちながら、世の中を見渡し続ける意識と行動が重要です。
一方、この課題の「発見の仕方」に、さも万能なアプローチがあるかのような論考は無駄の一言で一蹴すべきでしょう。
昨今は何でフレームワもークや方法論に落とし込んだものがウケが良いように見受けられますが、思考への「負荷」を下げようという意識は、思考力そのものを閉ざしていく危険性を必然的に伴うため、今すぐ捨て去るべきでしょう。
重要なのは、自分の力で情報を集め、考え、行動し続けることに尽きるのかなと思います。
…と、こんなことを言いつつ、その課題の発見のためのなんらかの役立つアプローチはあるかな、と思っています。
もちろん、それが万能などとは毛頭考えていませんが、課題の発見のために辿るべきいくつかのステップがあるのかなと、経験的に思っています。
第2回目の記事は、そんなことを考えながら書きました。宜しければご覧ください。